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MORSE(ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト/ハヤカワ文庫)

  


映画の方(ぼくのエリ、200歳の少女)がいいよ、と友達に言われて初めて知りました。DVDを買うかどうか迷ったので取り敢えず小説版から!邦訳が読みにくくて、あと北欧なんで聞きなれない上に似たような名前が多いので混乱しましたが、面白かったよ。

舞台は1980年代のスウェーデン、ストックホルム郊外。12歳の少年、オスカルは学校でいつも苛められてばかり。ある日、オスカルと母親が2人で住む団地の隣室に引っ越してきた新しい住人は、何処か奇妙な雰囲気を持つ娘とアルコール依存症らしき父親。エリという名の隣人の少女とオスカルは次第に仲良くなっていくが、同じ頃、町では次々と殺人事件が起き   という話。
簡単に言うと吸血鬼ものなんですが、出てくる人物が苛められっ子/苛めっ子だったり片親だったり小児性愛者だったりシンナーだのヘロインだのと意外なスウェーデン像でした。北欧って福祉が充実してて平和な(勝手な)イメージだけど、結構ハード。

主人公の少年・オスカルと吸血鬼の少女・エリ(実際は少女でないことが中盤以降語られるんだけど)の友情(愛?)を軸に、彼らに関わった人々が描かれています。本作での吸血鬼はウイルスに感染した元人間のようなもので、血液を媒介に他人を吸血鬼化してしまいます。エリに血を吸われて吸血鬼になってしまうけれど、最終的にそれを拒んで太陽の光で焼死する人もいる。でもってその恋人に逆にエリが狩られそうになったりもする。

長い時間を生きてる子供の姿をした大人、が好きなので吸血鬼設定は大好物です。映画の邦題は大嘘なんだね。200歳じゃなくて「生まれたのは二百二十年まえ」だし、まあそれはいいとしても、実際は少女でもない。映画ではエリ役が女の子で、とあるシーンで修正が入っているらしいのでそっちから入った人は「?」になるようだけど、エリの本名はエライアスでれっきとした男の子でした。吸血鬼化した頃に去勢されているけど。最近再読した『死の泉』といいカストールもの続きだな。
子供のまま不条理に時間を止められたヴァンパイア、ということで、『屍鬼』の沙子や『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア』のクロウディアと同じ哀しさも。

エリがキスで自分の記憶(過去)をオスカルに見せるのが印象的だなー。これがあと3つ4つ年上だったらちょっと何か変にセクシャルになると思うんですが、12歳だからいい。
「部屋に入っていいよ」と招いてもらわないと全身から血を流してしまうのとか。
あと、エリの「もしも女の子じゃないってわかっても」って台詞がそのまんまの意味とは最初思わんかった。吸血鬼だし「女の『子』じゃない」ってことかと思ったけど、そうじゃなくてそのまま「『女の子』じゃない」だった。

それから、最初エリの父親だと思われているホーカンというおっさんがいるんですが、この人がだめすぎてもうー。小さい男の子が好きでその噂で国語教師の仕事も辞めさせられて、でもエリが大好きで純愛捧げててエリのために殺人まで犯して血液を獲ってくるんだけどそれも手口が杜撰すぎて、ばれそうになった時自分で酸で顔を焼いて身元をわからなくして、逮捕されて病院に入れられるんだけどエリに自分の血まであげて病院の窓から飛び降り自殺しちゃう。まあ結局は吸血鬼化してエリを襲う変態なんだけど。

最後はオスカルとトランクに入ってるエリが電車に乗ってるんだよね。また街を転々としていくんだろうか。いつかオスカルが大人になったら、ホーカンみたいになってしまわないか心配。
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